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駆けていきたい。​想いのまま、

ずっと、真っ直ぐに。

VLOG

―春に駆ける―

プロローグ

Prologue

沈むような客席から見上げる、光に満ちた板の上。

超えられそうで超えられない、その境界線の向こう側を

俺たちはずっと、夢見てきた。

線香花火が落ちるみたいに、照明と音楽が

しゅんと消える。

静まり返った暗闇は、まるで真夜中だった。

音もなく、光もない。

何もないのは、始まるからだ。

新しい物語が幕を開ける。その期待が身体中を満たす。

どうしようもなくワクワクした。

憧れで胸を焦がすのに、それ以上の理由は

いらなかった。

「芝居がしたい。」

あの場所で俺たちは、きっと、

誰にでもなれるし、

何処にだって行ける。

そう、信じていたんだ。

© 2020 ICU劇団黄河砂21卒公

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