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駆けていきたい。想いのまま、
ずっと、真っ直ぐに。
VLOG
―春に駆ける―


プロローグ
Prologue
沈むような客席から見上げる、光に満ちた板の上。
超えられそうで超えられない、その境界線の向こう側を
俺たちはずっと、夢見てきた。
線香花火が落ちるみたいに、照明と音楽が
しゅんと消える。
静まり返った暗闇は、まるで真夜中だった。
音もなく、光もない。
何もないのは、始まるからだ。
新しい物語が幕を開ける。その期待が身体中を満たす。
どうしようもなくワクワクした。
憧れで胸を焦がすのに、それ以上の理由は
いらなかった。


「芝居がしたい。」
あの場所で俺たちは、きっと、
誰にでもなれるし、
何処にだって行ける。

そう、信じていたんだ。

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