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八神瑠璃子役 永井杏樹 インタビュー

  • 21lastplay
  • 2021年3月21日
  • 読了時間: 10分

聞き手:夏樹役 春楓


ー名前、学年、役名を教えてください!


永井:ID24の永井杏樹と申します。今回の役名は八神瑠璃子です。この公演ではキャストの他に演出補佐をしてます。演劇は初めてです。


ー今回黄河砂に参加してみようと思ったきっかけは?


永井:元々受験する前から大学に入学した後は演劇をやりたいと思っていて。その演劇の発表形式の中で自分が1番望むものと合っていたのが黄河砂で。オンライン花見(オンラインのサークルの説明会)に参加して、雰囲気がよさそうだったからっていうのが最初の理由ですね。


ーなるほど。元々演劇をやろうと思ってたのはどうしてですか?


永井:特定の舞台を見て感動したというのではなくて、純粋に人の気持ちを知りたいなって思って。自分と全く異なる境遇の中で育ってきた人は根本的に自分とは違うと思うんですけど、その人たちの感情の動きと自分の感情の動きがどれくらい一致していて、どんな感じで表現していけばわかりやすいか、違う人になれるのか。そういうのを知りたくて、演劇をやってみようって思ってました。


ーそうなんですね。今回演じる瑠璃子さんはどういう人ですか?


永井:瑠璃子さんはどういう人って言われると難しいんですけど。プライドが高くて、一歩引いて考える癖がついているけど、実際にすごく自信がある子ではなくて虚勢を張っているのかなって思いましたね。


ー瑠璃子さんと永井さんの共通点、違う点を教えてください。


永井:私と似てるなって思ってることはなくて。ただ外面を重視というか、虚勢を張りがちっていうのはちょっと似てるのかなって思います。内面と外面がちょっと離れてるなっていうところは共通点を感じますね。なにか目的意識があること、家としての名前を重視してるところは私と全然違うなって思います。学院を改善していくことを重視していて、それが元で振る舞いを作っていることがあるので、そこはすごいなって思いますね。


ーぶっちゃけ演じやすいですか?演じにくいですか?


永井:にくいですね(笑)!でも楽しかったですよ。役を解釈してそれを自分の表現に落とし込んでいくのが最初に思ってたよりもずっと難しくて。ただ、セリフを言ったり気持ちを考えたりするのは楽しかったですね、大変でしたけど。


ー本当だったら実際に集まって稽古してもっとじっくりみんなで考えていく機会もあったと思うんですけど、今回はこういう形で稽古したそばからどんどん撮影していくという形式になりました。撮影してみていかがでしたか?


永井:私は舞台に立ったことないのでわからないですけど、映像だと撮り直しができるじゃないですか。同じところを違う角度から何回か繰り返して撮り直したり。ああいうのが新鮮でしたね。1回1回全く同じ動きはしにくいし。1回で済まさなきゃいけないっていう緊張感は舞台の方があるのかなと思いました。だけど残っていくものとして作るっていうのは体験として貴重だったと思います。


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ーこの作品は演劇についてですが、今後演劇をやることがあったら、どんな役をやりたいか、また、どんなジャンルの劇に出てみたいですか?


永井:まず第一前提として舞台に立ちたいです!


ーそれはもう本当にやってほしい…。


永井:私は中高とずっと吹奏楽部にいたので、舞台に立って何かをやるっていう経験自体は重ねてきたんですけど、やっぱりそこでしかできないものってあるし。緊張して自分の練習してきたものが出せない!っていうところもある反面、終わった後の拍手とかの経験って舞台でしかできないと思うから辛いですね…。


ーこればっかりはどうしようもないけど…。


永井:稽古も小屋入り(ホールを貸し切って準備する期間)もちゃんとしてみたいし。


ーやってみないと雰囲気って伝わらないけど…楽しいんだよ〜!


永井:やってみたい役柄といいますと、色々ありますよね。私は作品を見ていくときに何かが好きっていうときはこのキャラクターが好き!というのでなくて。物語の中として不必要な人はいないから。その働きの中で1番視線を集めるキャラクターっていうより、主人公を支えるとかキーパーソンだけどそんなに出てこないとか憧れますね。


ーかっこいいですよね。ちょっと出て爪痕残していくみたいな。


永井:そうそう(笑)。でも知らないことがたくさんあるから、知りたいなって思いますね、単純に。


ーはじめたばっかりの永井さんに聞くのもあれですが……あなたにとって演劇とは何ですか?


永井:先輩たちがやってるのを見て思ったのは、全く違う人になるっていう目的を果たしているわけではなくて、共通点を探してその人物を深めていく…表現にどう落とし込むとか個人差があるじゃないですか。勉強ってやり方・これ覚えなきゃいけないとか定型がある分、演技はすごい柔軟なことにびっくりしましたね。この場合はこうやればよくてっていう一問一答みたいなのがあるってどっかで思ってたので。この人にはこの役が合うよねって言われるのって不思議な感じがしてたんですけど、その人自身の人柄とか、技量・特徴・役の深め方で差が出てくるのがおもしろかったですね。演劇は違う人になるっていうよりは自分と誰かの差異を見つけていく作業なのかなって思います。差異を埋めていくんじゃなくて、認めた上でどう引き寄せていくか、自分はどう近づいていくかっていうのを見てて感じましたね。


ー演劇のおもしろいところってその差異までも楽しんでしまうところだと思います。同じ役でも演じる人が違うと全然違うキャラクターになってしまう。それは別に悪いことじゃなくて、その違いによって確かにこういう一面やそういう一面もこのキャラクターは持ってるかもしれない…っていう想像をして、メタ的な視点を持ちつつ楽しんじゃいますね。


永井:稽古の一環で同じ脚本を違うペアで演じてみたんですけど、面白かったですね。ああも違いが出るのかって。


ー普段の稽古でもたまに役入れ替えてやってみようか!とかどうしてもわからなくなって参考にしたいので…って違う人の役をやったりするけど、そういうの見てても1人1人違うのが出てきたりするから、そういうのおもしろいなって。一応台本っていうある種正解があるけど、そこから読みとるものが1人1人全然違うのがおもしろい。


永井:行間を読むっていうけど例えば、私のやってきた現代文って読み方が決まってるじゃないですか。そういうのが自由に許されてるのは難しいところではあるとは思うんですけど、いいなって思いますね。


ーぜひ演劇のよさをこれからもっと見つけていってほしいなと思います!この作品の見どころ、シーンのおすすめを教えてください。


永井:全編を通してどうでもいいところがないんですよ(笑)!そうだなあ…演劇部の3人の声が揃うところがおもしろかった(笑)。(シーン1他)聞いてて息ぴったりだったし、そこ好きですね。あとは、晴美(演:じーん)がはまり役なんですよね。びっくりしちゃった。それで言うと、シーン13の旧演劇部員たちのところがずるいですよね。


ー本当にずるいよね。


永井:じーん先輩が演じるまで全然想像がつかなかったんですよ。晴美というキャラクターが。だから目の前に晴美っていう役が立ち現れて、こういう人だったんだ!って。如才なくふるまっていて、だけど本心ではどこか静かなんだろうなって。社交的な部分と内面の凪が噛み合ってるから、あーいいなって思うんですよね。


ー説得力がすごいよね。


永井:あっ晴美だ!っていう。すっごい王子様、イケメンっていう風じゃないけど…作中の展開は晴美に関しては明るくはないじゃないですか。こういう人間がお兄さんとしていたんだなって。きれいなところをかき集めて、記憶の中にしか存在しないキャラクターだから。人間らしくないんですよね。肉体を持って汗をかいて泣くような人間とは少し違う雰囲気。だけどそこにいたっていう朧げな記憶をかき集めてできた人物像っていうのがじーん先輩にあったというか…例えば、「めっちゃいい!」とか「どこやったっけ?」とかの声かけ・ちょっとした一言の表現がすごいうまかった記憶がありますね。私が思っていた大袈裟な芝居がかった動作ではなくて、声一つ一つで表現していたのがすごいなって思ってました。


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ー今回演出補佐として先に公演に参加していたと思いますが、元々演出補佐として関わったのはどうしてですか?


永井:演劇に携わりたいという話をしたら、補佐が空いていると。キャスト志望だったら、補佐だったら演技も見られるしということで、人員としてお雇いいただいたというか(笑)。その後にキャストの人数が足りないからということで入れていただいたという感じでしたね。


ー元々キャスト志望だったけど、最初はキャストの枠空いてるかわからないからとりあえず演出補佐なら空いてるよ!の流れで演出補佐になった感じかな?


永井:そうですね。携わりたくて直近で見たいならキャストもいいけど、空いてるところ(演出補佐)もいい席だからというのでやらせていただいた感じです。


ー演出補佐のお仕事はどうですか?キャストとの掛け持ちは大変ですか?


永井:小屋入りとか稽古が頻繁だったら大変だと思います。演出がどういう形にしたいのか、このキャラクターはこうだからっていうのを共有しないといけないと思うので。ただ、作っていくお手伝い、主体的に関わっていくというところではおもしろい役職だなと思います。キャストと違う面から、春楓先輩が言われたようににメタ的な視点で見ることができるというのは演出の特権かなと思います。


ー具体的にはどういうことしてるんですか?


永井:多かったのは、作業補佐。外で寒い中での撮影でキャストの上着持ってたりとかが多かったんですけど、撮影してない組の稽古に一緒に行って稽古の様子を聞くとか。指摘は今回おこがましくてあまりできなかったんですけど(笑)。どういう風に解釈していくのか、先輩方がどのように演技をすり合わせていくのかを見られたのはおもしろかったですね。1回D館(郵便局のある建物)3階のテラスっぽいところで先輩たち2人で読み合わせしているときに立ち会ったことがあって。最初に読み合わせた時も個々の解釈があるのがわかって、そこからどうテンポを合わせていくのかとか、読むスピードとか…感情はあまり変えずに、ただ会話を会話らしくしていく作業が見られたのがよかったですね。


ー今回演出補佐といってもいつもと違うことも多かったと思いますが、ぶっちゃけこの卒業公演に関わってみてどうでした?個性的な先輩方も多かったかと思いますが(笑)。


永井:ぶっちゃけ(笑)?卒公としてはね…いい経験だったと思いますよ。こういう状況下で活動も限られてて、それでも何か残していこうとしてるのはすごいなと思いましたし、稽古とかあまりできなかったからこそ技量が出たというか。プロセスが私からみて可視化されてないからわかりづらいところではあるんですけど…。


ー入ったばっかだもんね。


永井:うん(笑)!もうID25の人たちが入ってきちゃいますもんね。関わってしゃべったり演劇ができたから私は楽しかったですね。どうしてもセクメ(セクションメイトの略。ICUでの英語の授業のクラスメイトのこと)すらコンタクト取ることが難しい中で他学年の先輩たちと関われたし、演劇のことも曲がりなりにも知識は得られたなーっていう感覚があるので、本当によかったですね。


ー何かアピールしたいことはありますか?


永井:瑠璃子さんをやるのも楽しかったんですけど、朗読の方で蠍(さそり)の役をやったのが楽しかったので見ていただきたいですね。瑠璃子さんの不器用さ、上品さも必見ですけど、そちらも見ていただけたらな!と思います。


ー私たちは過去組の朗読に配属されているけど、現在組との違い、他の角度からも楽しんでいただければと思いますね。


ー最後に意気込みとメッセージをお願いします!


永井:先輩たちと比べて至らないところはかなりあると思うんですけれども、楽しんでやったので精一杯やった成果を見ていただけたらな!と思います。これからまた成長していく所存ですのでそこら辺もよろしくお願いします!


ーこれが永井さんにとってのデビューみたいなものですから!今回双子役で双子の片割れが21っていう…(笑)。全然違和感なかったけどね。


永井:さりか先輩(八神美和子役)すごいっすよ(笑)!さりか先輩の姿勢、出立ち、声がきれいなんですよね。整っている。隅々まで意識が行き届いていて、それでいて力んでない感じが上品だし、じーん先輩とはまた違ったかっこよさがありますね。


ー期待の新人ですよ、ほんとに。そういうところも楽しみにしていただけたらなと思います!ありがとうございました!

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