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森田七星役 るり インタビュー

  • 21lastplay
  • 2021年2月27日
  • 読了時間: 21分

聞き手:夏樹役 春楓


ーまず、名前、学年、役名と、今まで黄河砂に出た回数を教えてください。


るり:るりです。ID21の4年生で、役は森田七星です。黄河砂の公演に出演するのは4回目です。


ー意外と少ないね。もっとやってるイメージだった。


るり:全然ですよ。


ー森田七星はどんな人ですか?


るり:台本を読んだ時の最初の印象としては、正直全然わかんない人。後半はちょっと変わってくるけど序盤は人の気持ちとか全然察しないし。でも1つずっと貫かれてるのは、「信じる」ことができるところだなって。私は大体役を掘り下げるときって何か芯を決めないと、とっかかりができないタイプなんだけど、最初読んだときのとっかかりとしては、「信じる」人っていう印象で始めた。まだ掘り下げてる途中なんですけど(笑)。


ーるりと七星との共通点や違う点、共感できる・できない点はありますか?


るり:七星ってすごい自己肯定感は高い人なんだよね。転校がすごく多くて、今まで仲いい友達がそんなにいなかったみたいな設定がそもそもあるんだけど、にしては自信満々で。個人的なイメージだけど、転校が多い人って結構その場に合わせる人が多いのかなと予想してて。どっちかというと、上辺だけ人当たりがいいみたいになりがちなのかなっていうステレオタイプ?があった。というか自分だったらそうなる。だからそうやって迎合しないのが本当にわかんなくて。そっちの方が絶対楽なのに、なぜかそれをしないっていうか多分できない。なんでだって思ってたけど、さっき言ったみたいに自己肯定感が高いから、別に自分を変える必要がそんなにないのかも、と。家族との関係がすごくいい人だから、家族に肯定されてるっていう基盤がしっかりしていて、自分は保ったまま、環境の変化だけが前を流れていくみたいな感じだったんだなって。一方で、私は結構人に合わせるというか、同調しがちなタイプなのよ。だからわりと雰囲気とかにものるし、人の気持ちには寄り添いたいなと思ってる。気持ちとしても処世術としてもそういうところがあるんだけど、それをしないっていう茨の道を行く人間のことが全く理解できなくて(笑)。

似てるとこって何かな?顔?(笑)っていうのはまぁ冗談にしても、結構サバサバしてるように見えるところはちょっと似てると思ってる。自分は、多分、処世術として結構人当たりのいい人間ですけど、正直薄情なので、(七星が薄情な訳じゃないんだけど)「え、だったらこうすればいいじゃん」みたいな、人の気持ちを考えずに言っちゃうところは、スタンスとしては実は理解できなくはないかな。


ーなるほどね。それを実際に言うかどうかはおいといてっていうね。


るり:そうそう。言いたくなる気持ちはわかるんだけど言うなよって思うから、結局はわかんないんだけど。


ーじゃあめちゃめちゃ演じにくい感じ?


るり:掘り下げようと思うとめちゃくちゃ演じにくいけど、表面的にやるだけだったら結構型にはめやすい。型にはめてやっちゃいがちになっちゃうから、そういう意味だと簡単なんだけど、だからこそ逆に難しいみたいな。特に今回は映像じゃない?セリフを覚えたそばから出していくと、型にはまったものを反射で出すだけみたいになっちゃう。なんかしらやればいいだけだったら楽だけど、掘り下げてほんとにちゃんとやろうと思うと難しい。


ーなるほど。じゃあちょっと今ちらっと話が出たんだけど、今回は撮影ということで普段と全然違ったじゃない。やってみてどうだった?


るり:周りのスタッフさんがめっちゃありがたいなっていう気持ち(笑)。それをすごい感じてしまって、自分と比べて「やべ、ちゃんとやんなきゃな」って思いながらやってる(笑)。あとやっぱり、全然映像はやったことがなかったから大変だよね。舞台だったら2か月とか稽古やって、これで大丈夫だねっていうのを何回も通し稽古をして確認してから出すじゃない。それができないからほんとに不安しかなくて。私ほんっっっっっとに役作りに時間がかかるのね(笑)。いつも小屋入り(会場を貸し切って準備する期間)の1週間2週間前までひたすら役作りに悩んでるタイプなんですよ。なので、早い段階で撮影という「本番」を迎える今回は役作りが追いつかなくてひいひい言ってる感じ。でも逆に、舞台に比べて衣装が出てくるタイミングが早いから、そのビジュアルのイメージに助けられた部分は大きかったかな。あとは舞台と違ってシーンごとに区切って撮影するから、流れにのってセリフが言えなくて、毎回セリフの言い方が変わっちゃうところが映像って難しいなって。舞台やりたいなって(笑)。でもやったことないことができるっていう意味ではありがたいし、映像でもできる形にしてもらえたっていうのがありがたい。関係各所の皆さまには頭が上がらない。七星もスタッフワークの価値ちゃんと分かって(笑)!


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ホールで稽古をしている様子


ーでは今回は演劇の話ということで、るりが演劇に興味を持ったきっかけ・始めたきっかけは何ですか?


るり:昔からごっこ遊びは好きで、ぼんやり演じるっていう類のものにすごく好感というか興味を抱いたかな。他の子たちが他の遊びやりたいっていっててもごっこ遊びがやりたいっていうレベルから始まって。小学校の頃から、地域のサークルで演劇をやってる子のことがすごくうらやましくて。でも他に習い事もバレエとかやってたし、タイミングを逃しちゃった。中学では演劇部に入りたかったんだけどそもそもなくて、作る行動力もなくて、で高校には演劇部があったんだけど、多分人に惹かれてか別の部活に入っちゃって。で大学でやんないと2度とやらないか、逆に極端にやる方向に行っちゃうかのどっちかだと思ったから、大学ではとりあえずやっとこうと思って、黄河砂の説明会に行ったのが最初かな。


ー高校の演劇部、入ってくれれば良かったのに(聞き手の春楓とるりは同じ高校に通っていました)。


るり:あのときなんで入らなかったのか全然わからない(笑)。めっちゃうらやましくて、で、その時好きだった俳優さんも、なんかの演目で外郎売(演劇の発声や滑舌の練習に使われる歌舞伎の長台詞)やってて。「これめっちゃ好き」って思って覚えて一人で家でやってた(笑)。あと、ほんとに初舞台っていうことでいうと、保育園のお遊戯会のお芝居で結構メインの役どころをやったんだよね。それが本番で見事にセリフをとちって(笑)。それ以来ちょっと実行力に欠けるところはあったかもしれない。


ーいまいち勇気がでないというか。


るり:そうそう。恥ずかしがりやさんだったし。引っ込み思案だったし。黄河砂でやるときもめっちゃどうしよっかな、スタッフにしようかなって迷ってキャストにした。


ーじゃあ、次の演劇関連の質問なんだけど、今後もしもまた演劇をやることがあったら、今度はどんな役をやってみたいですか?


るり:そうだなー。めっちゃいろいろあるけど。できるかどうかは別として、猪突猛進じゃない役(笑)。なぜって、今までやった役が大体猪突猛進だったからっていう(笑)元気のいい5歳児から始まり、元気のいいちょっとあほっぽい雑誌記者、で、猪突猛進な侍、猪突猛進な高校生みたいな感じだから。歌劇団の公演でもわりと猪突猛進だったし。まぁでもそれはそういう役が合うってそのぐらい思われてるのか、そういうのしかできないねこいつはって思われてるのか知らないけど、そういう風に見えるんでしょうね。


ー多分、そういう役をできる人があんまり周りにいないから。今回に限っていうと、七星できるのもうるりしかいない(笑)。


るり:声がでかいみたいのはよく言われる。


ーあと、声質的にはっきりしているというか、よく通るんだよね。


るり:そうなんだよね。よく通るんだよ。おっきい声じゃないの。よくお母さんとかに、レストランで「るりうるさい」って言われるけど、違うの。声通っちゃうだけなの。


ークリアな声で、通るから、そういう猪突猛進というか、元気なキャラが似合うんだよね。声的に。


るり:やりたいよ、参謀みたいな役とか。


ー全然想像できないけどやってほしい(笑)。


るり:ほらー、みんな想像できないから私にそういう役あててくれないんだなー


ーそれは読み合わせ(動きをつけず、台本を通して読むこと。配役の参考にするために稽古の序盤に行われることが多い)で実力を発揮していただいて。るりこういう役も合うじゃん、やらせようってなるかもしれないよ?


るり:そういうのがやりたい人生だったわ。結構、良くも悪くも癖のないまっすぐな役作りをしがちなのかもしれない。だから、そういうひねり方があったんだとか、結構技術とかそういう部分で、しゃべり方だったり役の雰囲気だったり調整できる人っているじゃない、もんちゃん(透也役:十文字晴)とか。そういうひねり方あったんだ、って見ててびっくりするような演技をする人。ああいうタイプじゃないっていうのはあるだろうね。ああいう人ほんとにうらやましい。


ーどんなジャンルの劇に出てみたいとかある?


るり:文学的(?)な劇。すごく大雑把だけど。有名戯曲とか、絶対めちゃめちゃ難しいし、それこそ私みたいな猪突猛進型には一番向かないんだけど、そういうの結構出てみたい、含みがあるお芝居というか。私がそういうの好きっていうのもあって。それこそ、入学してすぐの黃河砂の公演 『ふくすけ』を観て入ったみたいなところがあるから。あれも含みがあるじゃない?2つ上の先輩方の卒業公演の『熱海殺人事件』とかすごいいいなーって思いながら観てた。あとは場転しない一幕物とか。2018年春公演の『Yakety Yak!』も一幕物だったけどその感じを理解してできたかどうかが怪しかったから、また挑戦してみたい。けどあれもあれでキャラクター性がものをいうから私の役作りで面白くなるかどうか……まぁ完全にないものねだりが否めないよね。

だけど一幕物だったら、そんなに大きい規模じゃなくてもできるし、例えばみんなが卒業しちゃってから、趣味でちょっとやるとかでもできそうだし、やれそうかなって思う。


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21デビュー公演の舞台写真。朔太郎役の有賀と兄弟役だった。


ーいいじゃないですか。じゃああなたにとって演劇とはなんですか?あなたが演劇に関わる理由や、続けてる理由はなんですか?


るり:えー…わかんない。なんだろう。楽しいから(笑)。いやでもなんで楽しいかっていうと、普段の自分じゃできないことができるから。あと、しっくり来るから。例えば、悲しい場面があったとして、この人が今亡くなって、私はこの人とこういう関係にあるから多分悲しむべき場面なのであろうみたいなことを、ほんとに言葉にしてる訳じゃないけど結構意識的に考えるタイプで。普通にボロボロ泣いてるときもあるんだけど、逆に泣いてるけどなんで泣いてるんだろうって思いがち?別に悲しくないんだけどな、みたいな。悲しい場面で涙が出てるから、多分悲しいはずなんだけど、悲しいっていう実感がわかない。


ーその認識と表出がマッチしてないみたいな。


るり:そうなのよ、あんまり、感情の認識を感覚でしてないっぽくて、結構ロジックで認識を補いがちなのね。


ーこういう状況だから、悲しいみたいな。


るり:悲しい状況だからじゃあ泣くかって思ってやってる訳じゃないけど。演じてるときはそういうのを考えてるのが自然なんだよね。


ーそうね、この役はこういうことがあったから、こういう感情になって、その結果こういうセリフが出てきてるんだろうなっていうのは考えるよね。


るり:そうそう、そのメタ的な思考が、基本的に自然で、それを前提にみんなが舞台の上に立ってるじゃない。で、そういうところだと普段はメタ的な思考に気をとられて素直に悲しいと感じられないことの多い自分でも、特に難しいことを考えずに、そのままでいられるというか。とにかく、そのメタ的思考を意識しないでいい場であるっていうのが1個と、あとは、なんか考え屋なわりに結構雰囲気には同調するタイプなので、舞台のそのシーンの雰囲気に染まって、悲しいっていう感情を自分の中に取り込むのが楽しい。だからしっくりくる感じがするのかな。


ーでは、今回の劇で一番好きなキャラは?


るり:そんなん絶対晴美(演:じーん)に票偏ってるっしょ。


らしいよ(笑)晴美が多いって言ってた。


るり:晴美のことはみんな好きだよね。晴美ってか、じーんちゃんが演じる晴美に説得力がありすぎて好きにならざるをえない。七星としても晴美には思い入れがあるし。でも、私個人としては、実は晴美に対しては微妙な気持ちを抱いているところがあって。晴美が魅力的なのはわかるんだけど。ある意味で自分の一部を隠し続けたことで、結果的に現在の遺された人々を縛ってしまっている晴美は罪作りだし。そういう意味ではなにしてんのさ晴美!って思うけど、一方で劇中の人たちがあまりにも晴美に夢を抱きすぎているのが彼にとっては酷なのかなとも思ったりして。だから、特に晴美と個人的に関係があるわけでもない私(るり)まで晴美に夢を背負わせたくないな、せめて、っていう。なんだこれ(笑)。だから、諸々ひっくるめると好きなキャラは夏樹かな。夏樹は逃げちゃったじゃん、一回。結構周りも巻き込んで逃げてるじゃない。でも、その弱さが人間らしいなと思って嫌いになれない。大人気ないし、弱いし、でもちゃんと切り替えることはできるっていうか。そういうところは大人だなって思えるところがあるし。

そういう弱くて、言い方悪いけどみっともないところとかがあって、それを見せちゃってる人間は好き。あと袖にいて見てるのが好きだよっていうセリフが、舞台作ってるときの感情を思い出して好きかな。


袖から見るのいいんだよね。


るり:楽しいんだよね。袖から見てるだけじゃなくて舞台に立ちたくもなっちゃうんだけど、楽しいよね、袖から見るの。で、幕裏で見てると、自分達の誇りのキャスト達が舞台上からはけてきて、またバッて出てくのとか、出て行くタイミングを待っている役者の横顔とか、見るの超楽しいよね(笑)!でもさっき言ったみたいに一緒に舞台に立ちたくもなっちゃう。だから結局自分も役者で、一緒にやってる仲間を幕裏で見るのが理想なのかも(笑)。友達の真剣な顔見られる幕裏好き。それはスタッフ共に一緒だけど。楽しい。そこに共感できるから夏樹が好きかな。七星もね、割と好きになった。ようやくね。最近、『銀河鉄道の夜』を序盤だけちょっと読んで。幼い頃の七星が晴美と読むじゃん。晴美が読んでるのを聞いて、それに魅了されたって過去があるじゃない。どこにそんなに惹かれたのかなって気になって読んだの。で、あれって友達二人で旅をする話じゃん。でも、先生に指されて答えられなかった時に一緒に分からないふりをしてくれるような、一緒に旅ができるような友達が多分七星にはいなくて。だけどそれを晴美が読んでくれて、そういう存在がいる世界を体験したんだろうな。でも晴美の演劇をその後観に行って、あの人には他に仲間がいたっていうちょっと辛い気づきがあって。それでも七星が友達作らなかったのはやばいけど、でも一人でがんばってきたんだなって思ったら、お前健気じゃん、かわいいやつだなって思い始めてきた。まぁこれから成長していっておくれよ、七星。


ーるりは今回初めて一緒に演技する人っている?


るり:ありさちゃん(育美役:遠藤有紗)が初めて。ほんと最初私ありさちゃんに口きいてもらえなかったもん。これ語弊があるか(笑)。そういうところは七星と育美と一緒なんだよな、逃げられるっていう。最近はありさちゃんが絡んできてくれてうれしい。かわいい後輩。ありさちゃんは役に対してもすごく一生懸命だし、真面目過ぎて心配になるくらい真面目。ありさちゃん見てると私こんなチャランポランでごめんって思う。結構私やればできるっしょみたいな感じで七星をやりがちなんだけど、ありさちゃんはその間にもいろいろすごい考えてて、私ももっと考えなきゃなって思わされます。本当に。後は……今回役でめちゃくちゃ絡んでるのって実はほんとに育美くらい……あとは長谷川さん(勝吾役:長谷川湧輝)。長谷川さんも、演技で絡んだことはない。他の公演で一緒だったこともあるし話したことも全然あるけど共演はない。あとはじーんとは共演したことはあるけどセリフを交わしたことは少ないかな。今回もあまり絡まないけど。あとはしゅんちゃん(桃華役:しゅん)、槇島さん(夢乃役:槇島)。


ーじゃあ結構嵐ヶ丘高校演劇部部員の人たちは初共演の人が多い?


るり:初共演の人が結構多いし、まだ撮影でもそんなに話せてない。やっぱり舞台じゃない分、ずっと一緒に会話してる感覚が薄いのはもったいないなって思う。


ーそれこそ自分が出てないシーンも、今回はお互いに見あったりもしないし。演劇部全員がそろうシーンは、そこまで多くはないけど、普段だったら演劇部のみんなで集まって、じゃあこういう風に稽古してるのかなとかさ、そういう話はしたりするじゃん。そういうのが全然ないっていうのはちょっとさみしいところではあるよね。


るり:そうだね、しゅんちゃんとは全然絡んだことがないかな…逆にしっかりお芝居したことあるメンツって少ないかも。春楓(夏樹役:春楓)、有賀(朔太郎役:有賀大輔)、もんちゃん(透也役:十文字晴)。うそでしょ、少ないな。さりか(美和子役:植田小里加)も今回はあんまり絡まないしなあ。さりかと二回くらいしか共演したことないし。その時その時も、会話という会話はそんなにしてないし。絡みはもちろんあるんだけど。


ー21のみんなに聞いてる質問なんだけど、今までの黄河砂での思い出は何ですか?


るり:えもくなっちゃうやつだ。なんだろう。黄河砂の思い出っていうか21での思い出ってなると、自分たちのデビューの印象がすごい強くて。有賀と兄弟役で仲良くならないといけなかったから、すごく濃密に思い出として残ってるし、あの空気感っていうのが忘れられない。小屋入りの空気感っていうのが。それをいろんな人に観に来てもらったりして、その時は観る側だった人が、今は普通に関わってくれてたりするじゃない、槇島さんとかもそうなんだけど。それも含めて嬉しい思い出として残ってるし。でもやっぱり最中は大変(笑)。やってる時ってみんなすごい必死じゃん。必死であればあるほど楽しいんだなっていうのは思い出の総括だよね。やってる時は「どうにもならん」みたいなところもあるけど、千秋楽終わると「良かったな」ってなるんだよね。あと、同期主体で作り上げたやつが印象に残りがちなのは間違いなくて。2019年春公演『暁の夜』もそうだし。あとは一つ下の後輩のデビュー公演とかかな。


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2019年春公演『暁の夜』通し稽古にて


ー今回のテーマの一つとして、過去からの思いとか、演劇部をつないでいくみたいなテーマもあるんですけど、これからまだまだICUとか黄河砂とかで活躍していくだろう・これから入ってくるであろう後輩たちになにかメッセージをお願いします。


るり:そんなことを言う学年になってしまいましたかって感じなんだけど。そんな偉そうに言えること全然ないんだけど、でも、やっぱりこんなタイムリーな話ないじゃん。それこそ今はコロナで、普段だったら、この時期にもうホールの貸出やりますよとか、この時期までに、公演を打ちたい人言ってくださいねとかお知らせが来るから、待っててもチャンスが来るけど、現状そうじゃないから。今までは50くらいのエネルギーがあれば一歩踏み出せたところが、100ぐらい必要だと思う。いろいろ問題も多いし課題も多いし。やっぱりそういう状況でやっていくことってめっちゃ大変だと思うんですよ。実際、打たなくていいやって思ったら、演劇公演とか、打たなくていいんだけど、でも打ったら楽しいんだよね。だから、打つか打たないか好きにすればいいけど、でも好きにする中の選択肢として、黄河砂の公演が、これからも続いていったらいいなって思う。私は今回全然運営に関われてないから(もちろん自分にできることならやるけど!)、本当に偉そうなことは言えないんだけど。あの公演楽しかったから、次ホールでやりたいねみたいなのの土台になるといいね(笑)。今普段公演を打っているホールの建て替えとかもちょうど重なってて、わりと黄河砂が途絶えるか途絶えないかの瀬戸際にいるんじゃないかなって実はすごい危機感を覚えているんだけど、続けてくれっていうのも違う気がするじゃない。


ー自分たちのエゴな気がしちゃうよね。


るり:そうそう。だから、そういうことは言えないけど、そう思ってもらえるといいなって。なんか打たなくてもいいやって思うのも自由だけど、やりたいなって思う自由の方に風を送りたい。だから頑張ろうね。さみしいよ。私後輩のやつ見に行きたいな。


同期って特別なところがやっぱりあるじゃん。やってきた年数も長いし、一緒になったプロダクションも多いし、なんだったら普通に会話した数ももちろん多いし、「こいつめ!」と思った回数も多ければ、「こいつ最高!」って思った回数も多いじゃない(笑)。そう思ったこと、人によるとはいえお互いにあると思う。でもそれ全部含めて好きって思える。そういう存在ってほんとありがたいよね。


ー同期大好きだからこそ、最後に一回みんなで舞台立ちたかったなとはやっぱり思うよね。


るり:わかるー、普通に照明浴びてさ、舞台上にみんなで並んでおじぎしたかったよね。何だったらスタッフさんもみんな引っ張りだしてお辞儀したかった(笑)。でも、カーテンコール(終演後の役者挨拶)はやるんだよね。


ーそう。カーテンコールはやるし、カーテンコール用に大道具作ってるから(笑)。

(注:緊急事態宣言により、カーテンコール撮影はこのインタビューの後に中止となりました)


るり:贅沢すぎるんだよな。そういうあきらめの悪いところ好き。ありがたいと思うよ、ほんとにありがとうございますの気持ちしかないんだよな、今回なー。私はのんべんだらりとしてたらみんながやってくれたみたいな側なので。


ーだって何にもしないで終わるのはあまりに消化不良すぎるし。


るり:間違いない。


ー少しでもね、みんなでやれたらいいなって思いますよ。


るり:ありがとうございます。


ーこの作品の見どころ、または好きなシーンなど、この作品のアピールをお願いします。


るり:図らずも現実とリンクしてしまったところが多くなってしまった作品です。構想というか初稿は、去年の今頃にはもう演出がつくりあげていて、だからコロナのコの字もない頃からあった作品。なんなら旧D(ホールのある建物)の建て替えの話も全然知らないで書いてたのに、結果的に旧Dの建て替えの話にも絡んじゃって演出は焦ってたけど。そういうリンクに加えて、コロナが出てきたせいで、「卒業公演ができない」って劇中の晴美の代との一致もできちゃった。もちろん理由は全然違うけど。でも、同じような危機的状況に置かれた時に現役組の人は七星を筆頭にあがくじゃないですか。月並みだけど、この作品に関わることで、ちょっとでも現実でもあがいていきたいなって気持ちがある。だから皆さんも!みたいなことは私には言えないんだけど、おこがましくて(笑)。でも読んだ人とか見たひとの手も無理やり一緒につかんで引っ張って、行くぞ!って走り出したい気持ちではある。多分七星は頼まれなくてもやる。なのでそういう風に演じて物語を進めていかないとなって思ってます(笑)。引っ張られて欲しいなとも思うし。だからそういう黄河砂の人たちのあがきが結構見どころなんじゃないですか?あと、今回はそもそも舞台上での「演劇」じゃなくて、読み物だし、動画だし、音声だし、見ようって最初は思ったとしてもその後見続けてくれるかわからないじゃない。舞台だったら当日来てくれさえすれば話やってる途中は逃げられないけど、基本的には。でも、記事とか動画とかって、ブラウザ閉じれば逃げられてしまう。だからこそというか、興味を持つ一個の要素として、読む人が、自分達が今おかれてる状況とかを思い出しつつ触れてくれたら、それが見どころになっていくのではないでしょうか(笑)。言葉が下手すぎるしあんまり素直じゃないからこういうことが上手く言えない。あと見どころはあれですね。夏樹と晴美のエモシーン(シーン8)かな。


ーあそこは一緒に撮影しながら裏で(良すぎて)うずくまってたシーンだから、みんなも悶えてほしいなって思います。自分が出てるシーンで好きなシーンは?


るり:えー、そうだなー。一番最後に、育美と七星で舞台に向かって歩いていくところは物語的にいいシーンだけど、正直やってて一番うわーってなったのは、七星が育美を探しに行ったときに育美が、「俺は君(七星)が怖い」って本音を言うシーン。お前そんなこと今言うのかよって(笑)。でも、そのあと育美が、だけど七星が背中を押してくれるからできるし、七星と演劇部のみんなと芝居やりたいって言ってくれるんだよね。それがすごい七星的にカタルシスっていうか、めちゃめちゃ幸せ。仲間ができたっていうのが説得力を持って迫ってきた瞬間だし。あとそのシーンで育美が、芝居が好きだって胸を張って言ってるのを見るのがすごく幸せ。だから七星的にはあそこが一番好き。見て欲しいのは、まだ全部は撮り終わってないからあれだけど、最後かな。完成した作品がどうなってるかもわかんないからさ、最後はエモく仕上げてくれるんじゃないですか?私ちゃんとできたかな、どうだろう。できてるといいな。あとは編集のみぞ知るって感じ。私が今回やってることって少ないので。


ーいやいや、そんなことないですよ。


るり:普段だったら稽古にも時間使ってるし、それこそ今編集さんがやってるようなことの半分は役者がやってる部分があるじゃないですか。指示とかは演出が出すけど、その中で試行錯誤をするのは役者のお仕事。そういうところとかは本当に半分くらい編集の方でやってもらってると思うし、自分はこの程度でいいのだろうかみたいな気持ちがある。だからあんまりおっきなことが言えないっていう。私ももっとがんばるよ。


ー最後に見てくれてる人たちへ、意気込みとメッセージをお願いします。


るり:これさっきのやつだね(笑)。あがいてるから見たってくださいっていう感じですかね。あわよくばあなたたちもあがかせてやるよ!…みたいな?自信をもって言えるようになりたいです。いまいちかっこよく決まんないんだよな~


ー他に言い残したことはありますか?


るり:七星との共通点に口下手を入れといてください。


ーわかりました(笑)。


るり:あと、七星との相違点に素直さっていうのを入れてください。


ー了解しました。ありがとうございました。

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