橘桃華役 しゅん インタビュー
- 21lastplay
- 2021年3月9日
- 読了時間: 12分
聞き手:a.m.
ーではまず、名前、学年、役名を教えてください。
しゅん:しゅんです。学年は23で、役職はキャストとネットの写真部です。役名は橘桃華です。黄河砂の公演に関わるのは3回目です。
ーキャストとスタッフ(写真)両方やってみてどうですか?
しゅん:まだ写真はあんまり撮れてなくて。昨年の3月に桜の撮影をして、あと稽古中にキャストのプライベート写真みたいなのは撮ってるんですけど、載せる用のピクチャをまだあんまり撮れていないので、それをまとめて撮れるときが年明け(インタビュー時: 12月)にあればいいなと思ってます。
ー写真担当になったのには理由があるんですか?
しゅん:元々写真を撮るのが趣味で、結構撮ったりしてたので。去年の12月半ばくらいに演出と話したらしくて。日記見たら書いてあって(笑)。そのときに「しゅん広報やってよ」って言われて。当時キャストの話が出る前に広報の話が来たかな。同時期に読み合わせもしていたと思うんですけど、まだキャストとして関わるかは決めてなくて。たぶんキャストとして関わりたいなと思ったのが、ひとり芝居(2019年秋『一回きり劇場』ICUの複数のサークルで行った舞台祭)が終わってからだと思います。
ーなるほど。写真の仕事の醍醐味、やりがいって何ですか?
しゅん:うーん…役者たちの表情を残していける、っていうのかな。やっぱりその時その時に残しておきたい表情とかってあるじゃないですか。でもそれをカメラを持ってない時だと記憶には残るけど…やっぱりこれ多くの人に見てほしい!って思うような表情とかを写真っていうものに残せるのは私にとってはいいことだなって思いますね。
ーでは次は役者としてのしゅんさんに聞いていきます。キャストとして、自分の役の率直な印象はどうですか?
しゅん:私が思ったのは、仲良い3人組、夢乃(演:槇島)と朔太郎(演:有賀)は結構自分の意見を自分から主張していくタイプなんですけど、桃華は自分から話すことはあんまりないんですね。みんなといる中でうまく相槌を打ったり、スルッと会話に溶け込めてるなっていう印象があって。演劇部のみんなのことがすごい大好きなんだなっていうのが、脚本読んでも伝わってきて。私が桃華と似てるなって思う部分もあるんですけど、私自身はあんまり自分からぐいぐいはいかなくて。どの場面でも冷静になって考えられるのは結構自分と似てるなって思うんですけど…私はここまで会話に溶け込むのがうまくないですね。桃華がちょうどいいタイミングで、他の人が言ったセリフに反応したり、必ずしもそこでそのセリフを言わなくてもいいけれど、言ったことで自分がその空間に溶け込んでる、うまく入っているなって伝わってきて。人付き合いが上手い子なんだろうなって思いましたね。
ー自分の似てるところと違うところ両方話してくれたと思いますが、演じやすいですか?演じにくいですか?
しゅん:演じやすいですよ、すごく。似ている部分の方が多いかなって気はしますね。あ、でもどうなんだろう。演劇部って基本活動してないじゃないですか。たぶん同じ空間に集まってしゃべってるだけだと思うんですね。桃華は朔ちゃん・夢乃と仲がいいと思うんですけど、やっぱり演劇部のみんなが大好きっていうのが伝わってきて。でもなんでここまで愛が生まれるのかがすごい不思議で。やっぱり何かひとつのものを一緒に達成してきた積み重ねがあったらたぶん強い絆が生まれると思うんですけど、それがないのに何で周りの人たちがこんなに大好きなんだろうな、っていうのはずっと不思議に思ってて。この子たちは1番最初の中学生のころに演劇をやろうとして失敗した経験はあるんですけど、それからずっと何もやってないので。そこは結構悩みながらやってるところはありますね。
ー演出に相談した時どんな感じでした?
しゅん:今はやってないけれど、1回その公演を打って、みんなで何かをやろうとしたっていう過去が絆につながってるんじゃないか。それもあると思うんですけど、この脚本の中で桃華が唯一自分から話し始めるところが、夢乃と朔ちゃんがいなかったら演劇部は意味がないっていうところで。そこが桃華が1番主張したいところ、考えているところだと思うんですね。だけど演劇部で演劇するためにいるのに、誰がいるのとか関係あるのかなって私は思っちゃって(笑)。そこは全然違うんですよ。桃華は演劇がしたいっていうよりも、みんなとする演劇が好きだと思うんですね。なんでそこまでみんなが好きになれるんだろうって思ってしまいます。すごく好きなのは伝わってくるんですけど。だからそこは結構考えながらお芝居してるところはありますね。
ーしゅんさんの演劇のルーツは何ですか?外部でミュージカルもやってるとのことですが始めのきっかけを教えてください。
しゅん:ミュージカルをやりたいなって思ったきっかけは『白路座夢行脚』(歌劇団20卒業公演)。
ーじゃあミュージカルっていうよりは演劇が先ですか?
しゅん:そうです。大学で黄河砂に入って演劇を始めて、それから歌劇で白路座を観に行って。元々歌は好きだったので、芝居だけじゃなくて歌もダンスもできたら楽しそうだなって思って。外部の公演への参加を考え始めたのは去年の今頃。結構黄河砂って外部でやってる人も多くて、なかなかサークルを中心に活動してるって人が少なくなってるじゃないですか(笑)。それで外部もありなのかなーって思って、探して見つけたところで今レッスンしてます。
ー大学までに演劇をやった経験はないんですか?
しゅん:そうですね、中3の頃にクラス劇をやったくらい?ほとんど劇には触れたことがなかったです。
ーなんで黄河砂に入ったんですか?
しゅん:元々運動部に入ろうと思ったんですけれど、大学入ってすぐ足を痛めちゃって。で運動はいいかなと思って、新歓の時に新D(郵便局などが入っている建物)の前で黄河砂が春公演のチケットを宣伝していたところをちょうど見かけて、その時に演劇やろう!って思って(笑)。
ーそんな人っているんだ。全然やったことなかったのにってことですよね?
しゅん:でも元々クラス劇をやって、少しその時に興味を持って演劇部の友達に脚本を見せてもらって読んだことはあったので。興味はあったんですけど。ずっと音楽系の部活をしていてやる機会がなかったので。たまたま大学で見かけて、それを思い出して、やってみようかなって思った感じです。
ーやってみてギャップとかありました?黄河砂はぶっちゃけどうですか(笑)?
しゅん:えーどうだろう…私さっき言ったように桃華みたいにみんなに溶け込めないんですよ。でも稽古とかしてて結構みんな仲良いじゃないですか。で、その中に入ってくのがたまに?けっこう?苦手だったりしますね(笑)。21の人たちって本当みんな仲良いじゃないですか。
ー(笑)ちなみに今回舞台じゃなくて映像ですけど、どうでした?大変でした?
しゅん:めちゃめちゃ疲れます。舞台だと始まってしまえば終わりまで流れてくじゃないですか。映像だと同じシーンを別カットで撮ったりするので、大変ですね。何回も繰り返しやるとその時々でちょっとずつ変わったり、疲労もたまってくのでなかなかベストなものを出せなかったりとかしたりして。
ー映像をやってみて新しいな、面白いなって思ったところはありますか?
しゅん:やっぱり舞台だと空間が広いじゃないですか。なので遠くにいるお客さんに届けるために大きな声を出さなきゃいけなくて。そうすると普通に声を出すより不自然な感じになってしまうような気がするんですけど、映像だとそこまで声を張り上げなくても届けることができるっていうのは、舞台でやるよりもいつも話してるような自然体に近いんじゃないかなって思います。
ー演技のアプローチは自然にできてるんですね。しゅんさんはこれからまだまだ他の劇にも出たりすることがあると思うんですけど、もし別の劇をやることがあったらどんな劇をやりたいっていうのがあったら教えてください。
しゅん:なんだろうなあ…私が今1番やりたいなって思ってる役は、リアルの自分じゃできない役だなって思ってて。一言で言ってしまえば、とことん落ちてく役がやりたいです。落ちていって人生狂わされて、どうしようもなくなっちゃったような人をやりたいですね。すごい憧れなんですよ。そこしか見えなくなって、狂わされていってしまうって、憧れというか自分に別の人生があったらやってみたい。でも、自分はめちゃめちゃ理性的っていうか。たぶんそんなことはできないんですよ。やりたいって思いつつ、そこまでやる勇気っていうものがなくて。だからリアルの自分じゃできないことを芝居でやりたいなって思いますね。
ーやってみたいスタッフとかありますか?
しゅん:照明には興味があって。演劇を作ってく中で重要になってくるから、学びたいなと思ってるんですけど、照明委員会じゃないと難しいから…(笑)。
ーオーディ(ホール)建て替えるからチャンスだと思うよ!(照明経験者が少なくなる分)経験値もまっさらになって同じスタートになるって勝手に考えてるから(笑)。
(聞き手は元々照明スタッフとして本公演に関わってくれていました)
ーでは、今ミュージカルにチャレンジしてるとのことですが、他にチャレンジしてみたい劇のジャンルってありますか?
しゅん:ジャンル…明るい話より暗い話の方がやりたい。
ーできたらいいですね。それでは今までの黄河砂・演劇の思い出があれば教えてください!
しゅん:黄河砂の思い出…自分のデビュー公演であんまり納得のいくものができなくて。まあ終わっちゃったんで振り返ってもどうしようもできないんですけど。あんまりやりきったっていう感じがなかったんですね。その理由としては、たぶんやり方がわからなかったっていうのが大きくて。例えば個人稽古とか何をしたらいいかわからなかった。けど、周りの人たちは自分でちゃんとやってたっていうのは…割と比べちゃってたってところがあったのかなって。その後にやった一人芝居で徐々に自分のやり方が掴めるようになって。でもやっぱり比べてたところはあるのかなって思いますね。他の人はすごい努力してるのに、自分は本当にこれでいいのかって悩んでた時期もありましたし。でも今ではもう他の人を全く気にしなくなって。役作りというか、その人がどう思ってるか、どういう性格をしてるかをたくさんたくさん考えてやれるようになったので。そこは1年で成長したなーって実感がちょっとだけあります。

23デビュー公演にて。
ーこの劇の中で、自分の役以外で演じてみたい役とかってありますか?
しゅん:七星かなあ。わかるんですよ、私七星。七星って全部1人でやっちゃうじゃないですか。そういうところが私と似てるなって思って。
ー確かに七星も演劇すればいいじゃん!って言ってますもんね。
しゅん:そうなんですよね。私行動力はあるんですけど、人を巻き込んで何かをすることが苦手で。自分1人でできることなら何でもやるんで。そういうところが似てるかなって思っちゃいますね。わりと七星も元々演劇部の人と演劇以外のところで付き合おうとはしてなくて。例えば一緒に雑談したりとか遊びに行ったりとかをする仲間ではなくて、演劇をする仲間なんだっていう…区切りというかは私もわかるなっていうふうに思いましたね。結構分けがち?なのかな(笑)。逆に1番わからないのは育美かもしれない。
ーやればいいじゃん!みたいな?
しゅん:そうそう。なんでそこまでくよくよしてるのかが理解できない(笑)。
ー(笑)そんな桃華だったら育美泣いちゃってるかもですね。
しゅん:でも桃華もたぶん育美とはいつもは仲良いと思いますけど、深いところではどう関わったらいいかわからないと思ってるところはあるのかなって。ちょっと距離を感じる。どう接していいのかわからないところ、戸惑いとかはあると思いますね。
ーしゅんさんが演劇に関わる理由、続ける理由は何ですか?
しゅん:やっぱり現実では経験できないことをできるのは大きいなって思いますね。リアルの自分ができないこと、やってみたいけどできないことってたくさんあって。それをお芝居でできたらいいなって思ってますね。あと芝居の中で本当に経験したことではないけど、それを演じることで自分の中に本物の感情が生まれるっていうのは本当にやっててよかったなって思う瞬間ではありますね。そこは現実ではないけれど、人間と人間がやってるんで。そこで生まれる感情はやっぱりリアルなものなんじゃないかなって思いますね。
ー演劇ってあなたにとってなんですか?って聞かれたらなんて答えますか?
しゅん:…色々な感情に出会える場所。演劇の中で例えば自分とは全然違う境遇の立場にいる人の役を演じることがあるとして、自分とはかけ離れた感情を持ってたとしても、それはどこかで自分の中に探していけば似たような感情はあると思って。でも実際生活していたら気づかなかったはずの感情を、芝居で自分とは別の人を演じることでそれを発見できるっていうのはすごく大きなことだなって思いますね。演劇は色々な感情を発見する場所。
ーそれでは、この卒業公演の見どころ、好きなシーンを教えてください!
しゅん:私が好きなのは…選べないな…晴美の時代のシーンがすごい好き。育と七星ペアもかわいいし…でもやっぱり七星と育美。七星は最初みんなと溶け込んでなかったんですけど、徐々に人と触れ合うっていうことをわかってく。育美が元々自分のせいで公演ができなくなっちゃって、重たいところに闇を抱えてたと思うんですけど、七星が来て話が進んでく中で、昔のことを払いきれてはないけれど、自分自身の芝居を見つけていく過程が私は好きだなって。
ーめっちゃいいですよね…では、キャストとしてもスタッフとしても、こだわりとかここに注目してほしいっていうアピールポイントとかありますか?
しゅん:スタッフとして、写真はひたすらアオハル目指してこうって(笑)。
ー何枚か見ましたけどめちゃめちゃいい感じでした!
しゅん:色味とかも、高校生にしかない空気というか、写真の雰囲気を出したいなって思ってるので。やっぱりそこはこの時しかできないような雰囲気を出せたらいいなって思ってますね。キャストとして…桃華からみんなへの愛が伝わればいいなって思ってますね。セリフを言う時も、みんなが大好きなんだってことを一番に考えて出したりするので。それが伝わればいいなって思います。
ー最後に意気込みとお客さんへのメッセージをお願いします!
しゅん:難しい…(笑)。今回映像っていうことで、新しい試みで色々試行錯誤しているところはあると思うんですけど、たくさん時間をかけて作っていってる作品なので、ぜひ観てもらえたらなと思います!
ーありがとうございました!
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