西條透也役 十文字晴 インタビュー
- 21lastplay
- 2021年3月13日
- 読了時間: 8分
聞き手:夏樹役 春楓、演出 寳井真友
ーまず、広報に使う名前と学年、役名を教えて下さい
十文字:十文字晴です。ID22の3年生で、西條透也役です。
ー十文字さんの演劇のルーツを教えて下さい。演劇に興味を持ったきっかけや、始めたきっかけ等をお話しいただきたいと思います。
十文字:一番最初に演劇に触れるきっかけになったのが、中学2年生の頃ですね。当時運動部だったのを辞めて、次の部活を決めかねていたところに、仲の良かった演劇部の友人に「公演をやるから観に来ないか」と言われたので観に行ったんです。それを観てすごく驚いたのと、友人に誘われたのもあって演劇部に入りました。そのあと、その友人が演劇部を辞めてしまったので僕も後を追うように辞めてしまったんですが…。でも、演じることは好きでしたし、何かしら自己表現のようなものをしていないと気が済まない質なので、大学に入ってサークルを決めるときに黄河砂に入ったんです。
ーなるほど。では次は今回演じている役についてお聞きします。透也は十文字さんにとってどんな役ですか。
十文字:透也は過去と現在の二つの時間軸でどっちも登場するキャラクターの一人ですよね。晴美の一番近くにいた人物でもあるし、その中で現在の演劇部との関わりも深い重要なポジションだと思っています。
ー透也の性格に関してはどう思いますか。
十文字:演じるとなると自分と比べることになると思うんですけど、割と僕の普段とは振る舞いがかなり異なる人ではありますね。理解ができないわけではないんですけど。
ーでは、十文字さんとの共通点や相違点、あるいは演じやすさなどについて教えていただけますか。
十文字:共通点はぱっと思いつきませんね…。
ー中学生の頃、演劇部の友人が先に辞めてしまったところはどうでしょう。
十文字:確かに。誘ってくれた友人が先に辞めてしまったというのは共通点の一つですね。あとは、あまり表面的な部分では共通するところはありませんが、分かってもらえると思ってたけど、食い違いがあって相手と疎遠になってしまうという経験は、割と共感できますね。
ーなるほど。逆に全く違う点などはありますか。
十文字:僕は誰彼構わず自分の怒りを他者にぶつけるということをしないので、透也とはそこが一番違いますね。多分そこが一番理解しがたいというか、背景を知れば別ですが、僕はこういう人がいたらちょっと理解できないだろうなって思います。でもだからこそ、「昔何があったんだろう」って透也の過去に興味を持つきっかけにはなりますし、観てる人もそういうところを気に掛けてくれたら嬉しいですね。
ーありがとうございます。では、演じやすさはどうでしょうか。
十文字:演じやすさ…そもそも自分がどこまで演じられてるのかは自分では分からないので、これは僕の勝手な想像ですが、複雑な感情を持っているというよりかは割と素直な人だと思うので、そういう意味では演じやすいのかなって思います。台詞から感情がすぐ読み取れるというか…。
ーなるほど、ありがとうございます。

黃河砂2019年春公演の際の一枚
ーさて、今回は元々舞台の予定でしたが、映像と文字で展開していく物語に変更していくことになりましたね。十文字さんは映像作品に出演した、関わった経験はありますか?
十文字:映像作品の出演はないですが、関わったことは結構前にありますね、裏方ですけど。高校2年生ぐらいから、受験が始まる前までずっとドキュメンタリーを作っていたので、そういう意味では映像作品に関わるのは初めてではないです。
ーそうなんですね。では今回撮影をやってみてどうでしたか。
十文字:いやぁ、違うなってところが多いですよね舞台とは。舞台はお客さんが目の前にいて、一回一回その場でしか起きないことが起きるわけじゃないですか。一番違うのはそこかなって思います。あとは演じ方とかも違うと思うんですよね。僕は映像に慣れていないのでわからないんですが、声の出し方や動きなどは舞台だと誇張しますよね。お客さんとの物理的な距離もあるし、より広い範囲に声を響かせないといけないので。表現したいことを伝えるっていう点では、舞台の方が制約が大きいのかもしれませんね。照明とか音響とか、全て含めて全体的に見れば、映像も舞台もいいところ悪いところ両方あると思います。でもキャスト目線で言うと…舞台で大きく表現するのに慣れていると、分からない部分は大きいですよね、映像は。感覚がまだ…どういう動きとか、どういう声の出し方をすれば自分の理想形になるのか、感覚が掴めてないので難しいですね。あとは、舞台だと全体を完全に作り込んでから披露するっていう形だと思うんですけど、映像はそうではないので、難しいです。演じつつ手探り状態ですよね。
ー確かにそうですね。では、今回は高校演劇のお話ですが、今後舞台をやるとしたら、どんな役を演じてみたいですか。
十文字:結構自分と遠い感じの振る舞いをするキャラクターが多かったので、逆に自分にすごく似ているキャラクターを演じると、自分がどうなるのかなっていう興味があります。そういう意味では、とても共感できるキャラクターがやってみたいです。
ーなるほど。では、出てみたい劇のジャンルはありますか。
十文字:割と黄河砂は現実的な描写が多い劇が基本というか、僕が黄河砂で演じたのがだいたいそうだったような気がするんです。なので、設定が作り込まれたSFみたいな演目に出られるなら出てみたいですよね。
ーありがとうございます。少し話は変わりますが、十文字さんにとって演劇とはなんですか。
十文字:なんか上手いこと言わなきゃいけないのかな(笑)。演劇は…自分の人生の位置づけとしては多分、自己表現と自己理解と、あとちょっと他者理解みたいな感じですかね。演劇だと、自己表現っていうよりは自己理解の方が大きいのかな、という気もしますが。どんな人を演じるにしても自分の体を通して表現しないといけないから、自分のことを知らないと演じられないじゃないですか。だからそういう意味では、演じることを通して自分のことを知ったりとか、どういう風にしたらどう見られるのかとか、そういう社会との関連性みたいなのを探る場…という感じです。
ーなるほど、演じてるときはどうですか。中身は冷静だったりしますか。
十文字:台詞だけだと割と感覚でやってるところもあるような気がするんですけど、やっぱり動きがつくと冷静になりますね。感覚から入って、どんどん客観的な目線で肉付けしていきます。キャラクターの年齢や生い立ち、環境などからそのキャラクターの根源的な部分は何かっていうのを考えながら演じられたらいいなって思っています。表面的な理解だけだと動きとか台詞とかはぎこちなくなっちゃうと思うんですよね。例えば、おじいさんやおばあさんを演じるとしたら腰が曲がってて、とか動きがゆっくりでとか、表面的な部分だけ見ているとただの腰が曲がってる表面的なおじいさんになっちゃうと思うんです。でも、なんで腰が曲がってるのかとか、年を追うにつれてどんどん体の自由がきかなくなっていってとか、そういうストーリーやライフスタイル、あとは先天的なものなどがあって、動きやしゃべり方がでてくるわけじゃないですか、人間には。だから、そういうことが分かれば一番いいなっていう風に思って演じてます。まぁできてるかは別として(笑)。
ーなるほど、ありがとうございます。

黃河砂2019年春公演にて
ーでは、この作品の見所、もしくは好きなシーンなどを教えて下さい。
十文字:全体としての話になってしまうんですが…、多分ほとんどの人が今まで舞台経験しかなかったと思うんですが、今回は映像でお届けするので、舞台との違いをどういう風にそれぞれ意識して演じてるのかを想像してみると面白いんじゃないでしょうか…全然お話と関係ないですかね(笑)。
ー確かに、いつもの黄河砂とはひと味違ったものが見れるということですね。
十文字:そうなんですよね、表現する場所が全然違うから。一番最初にキャスト目線で言うとなると、そういうことが主に感じるんですよね。でも、文字と一緒に映像で公開するっていう今回の企画も面白いなって思ってます。なので、あえてどういうシーンが面白いかは言いません。たくさん見所があるので、好きなシーンは自分で見つけて下さい!
ーありがとうございます。今回は卒業公演ということで、黄河砂での思い出などを聞かせていただけますか。
十文字:どういう目線で言えばいいんだろ、卒業するわけじゃないからな(笑)。
でも、21の先輩の存在はすごい大きかったなっていう風に思います。入ってから今まで、一番22よりも21との関わりの方が深いんじゃないかな。22はやっぱり、良くも悪くも我が強いから。一人ひとり連帯してないんですよ(笑)。だからつながりっていう意味では、21の先輩にお世話になったって思い出が一番あって。黄河砂で21の先輩たちがいなくなるとなると、成り立つのかなって思います。あとは、21に関してではないですが、僕は小屋入り(ホールを貸し切って準備をする期間)の時の、みんなで楽屋でおにぎりを食べるのがすごく好きなんです。大家族みたいでなんか楽しいんですよね。あとは…黄砂河の思い出がありすぎてまとまらないですね。もう黄河砂の思い出っていうと、大学全体の思い出になるぐらい。それぐらい自分の人生において占める割合が大きいし、あと居心地がいい場所だったんだろうなって人生振り返ってみて思います。
ーなるほど、ありがとうございます。
では最後に、今後の意気込みとメッセージをいただけますか。
十文字:意気込みは…まだ掴めてない部分がストーリー的にもありますし、環境もずっとコロナで引きこもっていたせいもあって慣れてないところも多いです。結構ブランクがあったので、今後も精進していきたいです(笑)。具体的には…、さっきも言ったのでくどいんですが、映像に合わせて自分をアップデートしていけたらいいなと思います。どこがどう違ってどういう見られ方の違いがあるのかを探るのも含めて、楽しんでやれたらいいですね。あと、公開する環境も違うのでどういう反応が返ってくるかも楽しみなので、そういうところも考えながら演じていけたらいいなという風に思ってます。あとは、普通に21の人たちと最後…一部最後じゃない人もいますが…なので、名残惜しさを噛み締めつつやっていこうと思います(笑)。
ー西條透也役、十文字晴さんへのインタビューでした。ありがとうございました。
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